設計の標準化・モジュール化

設計の標準化・モジュール化

近年、受注生産型製品を提供する日本企業の多くは、長年「お客様の要求を満たすこと」を絶対条件とした営業スタイルを取ってきましたが、グローバル化が進んだ今日、それが重荷になってきています。

お客様要求に合わせる受け身型の対応だと、設計変更による擦り合わせ箇所が多くなり、結果納期も長く利益も圧迫します。品質問題の発生リスクも上がります。

対して海外企業の多くは、自社の標準を持ち込み、あくまでも提案型のスタイルで営業展開します。結果的に組合せ型のスタイルとなり、納期、コストともに良い評価を受けることになります。この結果、失注も増えていきます。

このような状況を打開するため、商品企画力や製品対応力の強化に取り組む企業が年々多くなってきています。

設計ロジックの形式知化が製品対応力強化の第一歩

製品には、その機能・性能を表すものとして「仕様」と「諸元」があり、設計初期段階で必ずそれらを決定します。

「仕様」は顧客が指定するもの、または製品魅力を創出するために設定するもので、設計者がコントロールできない要求事項、あるいは設計上の制約となります。一方「諸元」は仕様を満たすために設計者が決定できる「制御パラメータ」と言えます。

「仕様」と「諸元」の間には、本来何らかのロジックに基づいた関係性が存在しており、各設計者はそれに従って検討・評価を行っています。しかし実際にはひとつの仕様に対して設計者ごとに異なる諸元が導出され、結果多くの亜種が産生されます。この主要因は

  • 設計者ごとに諸元の導出方法が異なる、ないしは曖昧であること
  • 検討手順や計算方法などが暗黙知になっていること

のふたつです。

そこでまず設計ロジックの形式知化をすることが製品対応力強化の第一歩となります。

複数のベテラン設計者の設計手順と諸元決定・判断ロジックを調べ上げ、最も良いと思われるものを採用して設計者全員が共有すれば、「仕様」からの「諸元」の導出結果が一意にまとまるようになり、設計品質も少なからず向上します。

 

■設計ロジックの形式知化の結果を、合理的な範囲でくくるのが設計の標準化

一意に諸元が決まるようになったとしても、それだけでは亜種の発生は減りません。例えば「仕様」と「諸元」の関係が線形関数で示されるならば、仕様の違いで諸元もリニアに変化します。計算結果に従うならば、むしろ亜種は増えてしまいます。

そこで必要なのが、設計ロジックを用いて導出した結果を性能を満たせる範囲でくくり、合理的なレンジを決めるといった方法です。このような検討が、設計の標準化作業となります。

これができれば、製品シリーズも合理的な数に絞り込まれます。この考え方の適用可否は、その仕様を担う機能構成の特性により異なりますが、要求仕様をどのように製品側が受けるかが明確になれば、受注設計の際の亜種の発生も相当に抑制できるようになります。

*この考えが適用できない箇所は、いわゆる擦り合わせ箇所であり、都度設計が必要なところと考えられます。
 設計の標準化は、都度設計に依る範囲を最小にしていく作業でもあります。

なお、「設計の標準化」は「部品(形状)の標準化」とは異なるものです。やみくもに部品の標準化をしたところで、どのような仕様に対応するためのものか、どのような検討の結果その諸元が決定されたのかが明らかになっていなければ、何の意味もないからです。あくまで部品の標準化は設計の標準化を行った結果を用いて行われるものであることを理解しておく必要があります。

■設計のモジュール化で擦り合わせを軽減する

設計のモジュール化では、どのような機能をどの構成で受けるかを適正化し、その単位での設計検討のしかたを決めていきます。機能間のインタフェースルールを決め、それによってモジュールの組み合わせを可能にします。

都度設計を行っている状態では、再利用部分が少なく、流用修正と新規設計に多くを依存しているため、設計負荷が高く、品質上の問題も発生しやすくなります。モジュール化を推進することでユニット・部品の組み合わせで顧客要求の多くの割合に対応できるようになり、設計作業における擦り合わせを軽減することができるようになります。

 

■VPrimesの「設計の標準化・モジュール化」支援サービス

当社では、設計の標準化、モジュール化を進めるための具体的な手順と手法により、確実に成果が出せるように支援していきます。

●特徴1:実績に裏付けられた製品分析-設計ロジック導出手法の提供

設計検討手順の抽出や、既存製品の機能構成分析手法を提供し、設計の標準化、モジュール化を効率良く進めていくお手伝いをします。

●特徴2:製品シリーズの再構築の支援

設計ロジックの形式知化を実行した後、基本設計の標準化・モジュール化を行い、さらに機能や性能のバリエーションを加味して形状設計の標準化・モジュール化を進め製品シリーズの再構築を行っていきます。

●特徴3:コンフィグレータの構築支援までをサポート

設計の標準化・モジュール化の究極のゴールはコンフィグレータ(お客様要求仕様から製品仕様や諸元を自動決定するツール)の構築です。顧客要求対応の大部分を組み合わせ設計で賄うためのコンフィグレータの仕様導出~実装までを支援します。

 




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